建物明渡しの訴訟
賃料支払に加え、建物の明渡しも求める場合
賃料の支払に加えて、建物の明け渡しを希望する場合は、訴状にどのような記載をすればよいでしょうか。
実際のケースにおいては、賃料回収と建物明け渡しの両方を求めることが多いと思われます。
そこで、訴状には、①賃貸借契約の内容、②賃貸借契約により建物が引き渡されたこと、③未払い賃料の発生期間や合計額(ここまでは賃料回収のみを求めるときと同じです。)、④賃料を支払うよう期間を定めて催告したこと、⑤催告期間が過ぎても賃料が支払われないこと、⑥契約を解除したこと(又は訴状において契約を解除すること)を記載します。
ここで注意が必要なのは、契約書に書かれている解除の要件です。賃貸借契約書で「●ヶ月以上の賃料を滞納したとき」に催告をすることなく解除ができる、といった定め方をしている場合、上記④や⑤の代わりに、「●ヶ月以上の賃料を滞納したこと」を記載することになります。
証拠として賃貸借契約書や督促状のコピーを添付すること、当事者が法人の場合、法人登記簿を添付することは、賃料回収の場合と同様です。
さらに、建物の明け渡しを求める場合、建物の登記簿と、固定資産評価証明書を提出する必要があります。登記簿は、建物の所在地を管轄する法務局、固定資産評価証明書は、建物の所在地を管轄する市町村役場か税務署で取得することができます。
また、収入印紙の金額については、計算が複雑ですので、事前に裁判所に問い合わせるか、弁護士等の専門家に確認を依頼することをお勧めします。
第1回の裁判期日から、判決が出るまでの手続
訴状が被告に送達された後、被告は、訴状にかかれた事実を認めるかどうか、また、反論がある場合にはその内容を記載した答弁書を提出しなければなりません。
賃料の支払や建物明渡しを請求する裁判の場合、被告は、訴状に書かれた事実を全て認めることを少なくないため、第1回の裁判期日の時点で、裁判官は、「次回期日で判決を言渡します。」と述べることがよくあります。この場合は、次の裁判期日において、原告の主張に沿って、賃料の支払と建物の明渡しを命じる判決が出ることになります。
また、被告が第1回期日までに答弁書を出さず、期日にも出頭しない場合には、裁判所が、原告の主張をそのまま認める判決を出すことがあります。これを欠席判決といいます。
なお、判決が言渡される期日には、当事者は出頭する必要はありません。
判決言い渡し後、判決書が当事者に送達されます。
判決の内容は、この判決書に記載されています。また、言い渡し後であれば、裁判所の担当部に電話して、判決の内容を聞くことができることもあります。